○仙南地域広域行政事務組合監査基準
令和四年三月二十三日
監査訓令甲第一号
目次
第一章 総則(第一条―第四条)
第二章 一般基準(第五条―第十一条)
第三章 実施基準(第十二条―第十九条)
第四章 報告基準(第二十条―第二十五条)
附則
第一章 総則
(規範性)
第二条 本基準は、法第百九十八条の三第一項に規定する監査基準であり、監査委員は、本基準に従って監査、検査及び審査(以下「監査等」という。)並びに法令の規定により監査委員が行うこととされているその他の行為を実施するものとする。ただし、本基準に定められていない事項については、一般に公正妥当と認められる他の関連する基準等を参考にするものとする。
(監査等の目的)
第三条 監査等の目的は、仙南地域広域行政事務組合(以下「組合」という。)の行財政運営について、健全性及び透明性の確保に寄与し、また、事務の管理及び執行等について、法令に適合し、正確で、経済的、効率的かつ効果的な実施を確保し、もって住民の福祉の増進と組合行政への信頼確保に資することである。
2 監査委員は、自ら入手した証拠等を基に監査等の結果を形成し、第二十一条に規定する監査等の結果に関する報告を決定し、これを議会並びに理事会及び関係する行政委員会等(以下「理事会等」という。)に提出する。
一 財務監査(法第百九十九条第一項) 財務に関する事務の執行及び経営に係る事業の管理が法令に適合し、正確で、最少の経費で最大の効果を挙げるようにし、その組織及び運営の合理化に努めているか監査すること。
二 行政監査(法第百九十九条第二項) 事務の執行が法令に適合し、正確で、最少の経費で最大の効果を挙げるようにし、その組織及び運営の合理化に努めているか監査すること。
三 議会の請求に基づく監査(法第九十八条第二項) 議会の請求に基づき、事務の執行が法令に適合し、正確で、最少の経費で最大の効果を挙げるようにし、その組織及び運営の合理化に努めているか監査すること。
四 理事会の要求に基づく監査(法第百九十九条第六項) 理事会の要求に基づき、事務の執行が法令に適合し、正確で、最少の経費で最大の効果を挙げるようにし、その組織及び運営の合理化に努めているか監査すること。
五 財政援助団体等に対する監査(法第百九十九条第七項) 補助金、交付金、負担金等の財政的援助を与えている団体の当該財政的援助等に係る出納その他の事務の執行が当該財政的援助等の目的に沿って行われているか監査すること。
六 公金の収納又は支払事務に関する監査(法第二百三十五条の二第二項) 監査委員が必要と認めるとき、又は理事会の要求があるときに、指定金融機関等の公金の出納事務が正確に行われているかを監査すること。
七 住民監査請求に基づく監査(法第二百四十二条) 住民が、組合の職員等による違法又は不当な財務会計上の行為、又は財務会計上の怠る事実があると認め、監査請求を行ったときに、請求に理由があるか等を監査すること。
八 理事会の要求に基づく職員の賠償責任に関する監査(法第二百四十三条の二の八第三項) 理事会の要求に基づき、職員が組合に損害を与えた事実があるか監査すること。
九 例月現金出納検査(法第二百三十五条の二第一項) 会計管理者等の現金の出納事務が正確に行われているか検査すること。
十 決算審査(法第二百三十三条第二項) 決算その他関係書類が法令に適合し、かつ正確であるか審査すること。
十一 基金の運用状況審査(法第二百四十一条第五項) 基金の運用の状況を示す書類の計数が正確であり、基金の運用が確実かつ効率的に行われているか審査すること。
2 前項第一号の監査等は、定期監査(法第百九十九条第四項)又は随時監査(法第百九十九条第五項)として実施する。
3 法令の規定により監査委員が行うこととされているその他の行為については、法令の規定に基づき、かつ、本基準の趣旨に鑑み、実施するものとする。
第二章 一般基準
(倫理規範)
第五条 監査委員は、高潔な人格を維持し、いかなる場合も信義にのっとり誠実な態度を保持するものとする。
2 監査委員は、常に、独立的かつ客観的な立場で公正不偏の態度を保持し、正当な注意を払ってその職務を遂行するものとする。
3 監査委員は、職務上知り得た秘密を他に漏らし、又は他の目的に利用してはならない。その職を退いた後も同様とする。
4 監査委員は、地方公共団体の財務管理、事業の経営管理その他行政運営に関し優れた識見を有することが求められ、第三条の目的を果たすため、自らの能力の向上と知識の蓄積を図り、常に自己研さんに努めるものとする。
(指導的機能の発揮)
第六条 監査委員は、第三条の目的を果たすため、監査等の対象組織に対し、適切に指導的機能を発揮するものとする。
(監査等の実施)
第七条 監査委員は、必要に応じて監査等の対象に係るリスク(組織目的の達成を阻害する要因をいう。以下同じ。)を識別し、そのリスクの内容及び程度を検討した上で、効果的かつ効率的に監査等を実施するものとする。この場合において、リスクの内容及び程度の検討に当たっては、必要に応じて内部統制の整備及び運用状況の有効性を評価した上で総合的に判断するものとする。
2 監査委員は、監査等の種類に応じ、内部統制に依拠する程度を勘案し、適切に監査等を行うものとする。
(報告の徴取)
第八条 監査委員は、地方自治法施行令(昭和二十二年政令第十六号)第百六十八条の四第三項の規定により、指定金融機関等に対する検査の結果について、会計管理者に対して報告を求めることができる。
(監査調書等の作成及び保存)
第九条 監査委員は、年間監査計画及び実施計画(以下「監査等の計画」という。)、監査等の内容、判断の過程、結果及び関連する証拠その他の監査委員が必要と認める事項を監査調書等として作成し、適切に保存するものとする。
(情報管理)
第十条 監査委員は、監査等において入手し、又は作成した情報が意図せず外部に流出しないよう、情報管理を徹底するものとする。
2 監査委員は、監査等において入手した個人情報について、個人情報の保護に関する法律(平成十五年法律第五十七号)に基づき適切に取り扱うものとする。
(品質管理)
第十一条 監査委員は、本基準にのっとってその職務を遂行するに当たり求められる質を確保するために必要な品質管理の方針と手続を定めるものとする。
2 監査委員は、前項の品質管理の方針と手続に従い、監査等が適切に実施されていることを定期的に評価するものとする。
3 監査委員は、監査委員の事務を補助する職員等を適切に監督し、指導するものとする。
4 監査委員は、監査委員の事務を補助する職員に対し、監査委員の職務が本基準にのっとって遂行されるよう、地方公共団体の財務管理、事業の経営管理その他行政運営に関して、自らの専門能力の向上と知識の蓄積を図るよう研さんに努めさせるものとする。
第三章 実施基準
(合理的な基礎の形成)
第十二条 監査委員は、監査等の実施に当たり、十分かつ適切な監査等の証拠等を入手して、決定する監査等の結果の合理的な基礎を形成するものとする。
(監査等の実施方針及び計画の策定)
第十三条 監査委員は、組合を取り巻く内外の環境、リスク、過去の監査結果、監査結果に対する措置の状況、監査資源等を総合的に勘案し、監査等の方向性や重点項目等の実施方針を策定するものとし、当該実施方針は、環境等の変化に応じて適宜見直すものとする。
2 監査委員は、前項の実施方針に基づき、監査等を効果的かつ効率的に実施することができるように、監査等の計画を策定するものとする。
3 監査委員は、年間監査計画の策定に当たり、リスクの内容及び程度、過去の監査等の結果、過去の監査等の結果に対する措置の状況、監査資源等を総合的に勘案した上で、次に掲げる事項を定めるものとする。
一 実施予定の監査等の種類及び対象
二 監査等の対象別実施予定時期
三 監査等の実施体制
四 その他必要と認める事項
4 監査委員は、実施計画の策定に当たり、必要に応じて監査等の対象に係るリスクの内容及び程度を検討した上で、その程度に応じて体系的に次に掲げる事項を定めるものとする。
一 監査等の種類
二 監査等の対象
三 監査等の着眼点
四 監査等の主な実施手続
五 監査等の実施場所及び日程
六 監査等の担当者及び事務分担
七 その他監査等の実施上必要と認める事項
(監査等の計画の変更)
第十四条 監査委員は、監査等の計画の前提として把握した事象や環境等が変化した場合又は監査等の実施過程で、事前のリスク評価に重大な影響を与えるような新たな事実を発見した場合には、必要に応じて適宜監査等の計画を変更するものとする。
(監査等の手続)
第十五条 監査委員は、十分かつ適切な監査等の証拠等を入手できるよう、必要に応じて監査等の対象に係るリスクを識別し、そのリスクの内容及び程度を検討した上で、実施すべき監査等の手続を定めるものとする。
2 監査委員は、監査等の結果及び意見を決定するに足る合理的な基礎を形成するために、監査等の手続を定めるに当たり、有効性、効率性、経済性、合規性に着目し、併せて実在性、網羅性、権利と義務の帰属、評価の妥当性、期間配分の適切性、表示の妥当性等も考慮するものとする。
3 監査等の手続は、試査又は精査による。この場合において、監査等の実施の結果、異常の兆候を発見した場合等必要と認めたときは、監査等の手続を追加して実施するものとする。
4 監査委員は、監査等の実施の結果、想定していなかった事象若しくは状況が生じた場合、新たな事実を発見した場合又は不正の兆候若しくは事実を発見した場合には、適宜監査等の手続を追加して十分かつ適切な監査等の証拠を入手し、監査等の結果及び意見の合理的な基礎を形成するものとする。
(実施すべき監査等の手続の適用)
第十六条 監査委員は、効果的かつ効率的に十分かつ適切な監査等の証拠を入手するため、実査、立会、確認、証憑突合、帳簿突合、計算突合、分析的手続、質問、観察、閲覧等の手法について、得られる証拠力の強弱やその容易性を勘案して適宜これらを組み合わせることにより、最も合理的かつ効果的となるよう選択の上、実施すべき監査等の手続として適用するものとする。
(各種の監査等の有機的な連携及び調整)
第十七条 監査委員は、各種の監査等が相互に有機的に連携して行われるよう調整し、監査等を行うものとする。
(監査専門委員の選任、他者情報の利活用及び調整)
第十八条 監査委員は、必要に応じて監査専門委員を選任し、必要な事項を調査させることができる。
2 監査委員は、監査等の実施に当たり、理事会(法第百九十九条第七項に規定する財政援助団体等を含む。)の内部監査人、監査役、監事等と必要に応じて連携の上情報収集を図り、効果的かつ効率的な監査等の実施に努めるものとする。
3 監査委員は、前項に掲げる者から得た情報を利活用する場合には、それらの品質管理の状況等に基づく信頼性の程度を勘案して、利活用する程度及び方法を決定するものとする。
4 監査委員は、学識経験者等から意見を聴く場合、その必要性を吟味し、自らの責任において利用するものとする。
(弁明、見解等の聴取)
第十九条 監査委員は、原則として、監査等を実施した結果導き出される指摘、意見及び勧告等に関する報告の決定の前に、対象部局等の長から弁明、見解等を聴取するものとする。
第四章 報告基準
3 監査委員は、審査を終了したときは、意見を理事会に提出するものとする。
4 監査委員は、監査等の結果に関する報告の提出に当たり、住民が理解しやすいように平易かつ簡潔明瞭な表現とするよう努めるものとする。
(監査等の結果に関する報告への記載事項)
第二十一条 監査等の結果に関する報告は、原則として次に掲げる事項を記載するものとする。
一 本基準に準拠している旨
二 監査等の種類
三 監査等の対象
四 監査等の着眼点
五 監査等の主な実施内容
六 監査等の実施場所及び日程
七 監査等の結果
八 その他必要と認める事項
4 監査委員は、是正又は改善が必要である事項が認められる場合、その内容を監査等の結果に記載するとともに、必要に応じて、監査等の実施過程で明らかとなった当該事項の原因等を記載するよう努めるものとする。
5 監査委員は、重大な制約等により重要な監査等の手続を実施できず、監査又は検査の結果及び意見を決定するための合理的な基礎を形成することができなかった場合には、必要に応じて監査等の結果に関する報告にその旨、内容及び理由等を記載するものとする。
(監査委員の合議)
第二十二条 次に掲げる事項の決定は、監査委員の合議によるものとする。
二 第四条第一項第七号に定める監査及び勧告
一 監査の結果に関する報告の内容
二 監査の結果に関する報告に添える意見の内容
三 監査の結果に関する報告に係る勧告の内容
(措置状況の報告等)
第二十四条 監査委員は、監査の結果に関する報告を提出した者及び監査の結果に関する報告に係る勧告をした者に、適時、措置状況の報告を求めるよう努めるものとする。
2 監査委員は、監査の結果に関する報告を提出した者及び監査の結果に関する報告に係る勧告をした者から、措置の内容の通知を受けた場合は当該措置の内容を公表するものとする。
3 監査委員は、第四条第一項第七号の住民監査請求に基づく監査に係る勧告に基づき、議会又は理事会等から必要な措置を講じた旨通知があったときは、これを請求人に通知し、かつ、公表するものとする。
(委任)
第二十五条 本基準に定めるもののほか、必要な事項は監査委員が協議して定める。
附則
この訓令は、令和四年四月一日から施行する。
附則(令和五年監査訓令甲第二号)
この訓令は、令和五年四月一日から施行する。
附則(令和六年監査訓令甲第一号)
この訓令は、令和六年四月一日から施行する。